Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"The Borrowers" Mary Norton

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*楽しいばかりではなく*

この本は、「借りぐらしのアリエッティ」というスタジオジブリの映画の原作で、図書館で借りて読みました。映画は見たことないけど。

Borrowersというのは、人間たちより縮尺の小さい種族で、アリエッティはお父さんとお母さんと3人で田舎のの屋敷の地下に人間に見つからないように隠れて住んでいる。Borrowersと呼ばれているのは、彼らの生活が人間たちから借りてきたものによってなりたっているからだ。「盗んだ」のではなく借りている。私たちが生活してていろいろなものがなくなったりする…例えばヘアピンとか、小さくなった鉛筆とか…それがBorrowersの仕業だったとしたら!?…そう考えるとかなり楽しい。

こういう、普通の生活の中にファンタジーの世界を紛れ込ませるっていうイギリス児童文学の伝統みたいな感じが好きです。クローゼットの奥に別の国があったり、電車のホームとホームの間にあるはずのないホームが現れたり…実際の自分の生活にあるものの中にフィクションが上手く混ぜられていたら、フィクションまで実在するかのように思えてくる…魔法ですね。

アリエッティが初めて地下から外の世界に出た時の喜ぶところがすごく印象に残った。眩しい光とか、庭の虫とか植物が生き生きとしてて…。

でも、この本はそんな楽しくかわいいことばかりの本かと思って読み始めたけど、そうでもなかった。戦後まもなく(1952年)書かれたせいもあるかもしれないけど、どこか物悲しいっていうか…この幸せは続かないよって繰り返し伝えてくる。それから、色々なテーマが隠されているような気がする。女性の解放とか、階級制度の崩壊とか…やっぱり戦後既存の価値観が壊れたせいだろうか!?かといってメッセージをガンガン伝えてくるってわけでもなくて微かにそうなのかなって思っただけ。深い霧の夜白いドレスの女に出会ったが、美しい人だったような気がする…みたいな感じで、逆に忘れられない印象が残った。

出てくる子供が、必ずしも可愛く素直で人懐っこくないところもいいと思います。

プリンセスもバトルもいいけど、世の中もっといろいろある。こんな児童書も子供達にもっと読まれてほしい。それが多様性というものではないでしょうか。