Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"Anne´s House of Dreams" L.M.Montgomery

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*そして物語は続く*

5冊目読みました。

お話は結婚式の数日前から結婚式、「夢の家」での新婚生活へと続きます。思い出話もたくさん出てきて、1冊目からがんばって読んで来てよかったなーと思ったのも束の間、ページをめくる手は徐々にスローダウンし、思いの外読むのに時間がかかってしまいました…。

結局なー、物語というものは、boy meets girlのhappy ever after が最高の形なのではないでしょうか(当社比)。甘いお菓子が好きな人もいれば、スパイシーな物や苦い味が好きな人もいるとは思う。

ギルバートは相変わらずアンを崇拝していますが、仕事が忙しくて留守がちだし、楽しいことばかりじゃない、結婚🟰生活なわけですよ!(みんな、わかってた?) それで、モンゴメリさんも新たなヒロインを登場させ、派生的ラブストーリーを展開させていらっしゃいます。

図書館で立ち読みしたモンゴメリの伝記によると、この本を書いている時モンゴメリはもうアンの物語は書きたくない、他のヒロインを書きたいって思ってたそうです。人気があるから書かざるを得なかったのかな?

所謂コナン·ドイル現象ってやつです。コナン·ドイルはもうシャーロック·ホームズを書きたくなくなって1度は死なせてしまったという話です。モンゴメリは偉い。アンを殺さなかったし、ちゃんと最後まで読ませる物語を書いています。

夕暮れとかの風景を1ページ近くにわたって描いています。普段は風景描写とかめんどくさくなって飛ばし読みしてしまうことも多い私ですが、辞書を引きながら(難しい言葉が多いため)じっくり読んで見ると素晴らしく美しくて驚いてしまいました…反省。

例えば、アンとギルバートが海岸を散歩する場面では「Over the western hills beyond the harbour were amber deeps and crystalline shallows, with the fire of sunset below. The north was a mackerel sky of little, fiery golden clouds.」…読むのめんどくさいですか?いわし雲ってmackerel sky って言うんだー!って知って単純にうれしかったです。

5話目にしてアンの物語は新たな局面を迎えたのかな。夢の国に住んでた妖精のような女の子が1人の女性になったというか、私たちと同じ等身大の女性として生きているというかそういう感じです。若い頃は共感出来なかったかもしれないけど、これまでとはまた違う意味で物語を楽しんで行けたらいいなと思います。違う味の食べ物も食べてみよう。読むスピードは落ちるかもしれないけど。

お花畑のラ・ラ・ランドは終わっても人生は続く、むしろその後の人生の方が長いのです。今日も明日も明後日もがんばろうと思いました。