Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"My Policeman" Bethan Roberts

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*苦い薬*

元ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズが出演するこの小説の映画がネットフリックスで公開になるという記事を読んだ。やばい。去年の冬新宿の紀伊国屋書店の「映画原作」コーナーで買ったまま積読してた…。その半年後日本語に翻訳されて文庫になってるのを目撃したけど放置してた(邦題も「マイ・ポリスマン」)。早く読まなきゃハリーに負けてしまう。ハリーと競争だ!…ってもう映画の撮影はとっくに終わってるんですけどね。やる気を出したかっただけです。

このタイトル絶対ラブコメだと思うじゃん!? 私の頭の中ではカーペンターズの「Please Mr.postman」流れてたんですけど。postmanじゃなくてpoliceman だけど。読み始めた途端カレンの歌声ストップ。「Stop!」って歌っているのは偶然か!? ラブだけど全然コメじゃなかった。つらい、つらすぎるお話でした。裏表紙のあらすじに書いてあったのに忘れてた。色んなことを忘れる。忘却力が凄すぎる今日このごろ。

端的に言うと、男性2人女性1人の三角関係が描かれています。そしてその男性が2人ともゲイという、それって三角関係成立するの?って思うかもしれないけど、読んでみてください。

そう考えると、これまでlove triangleは男性2人女性1人、または女性2人男性1人で、愛情の方向を考えても6通りくらいしかないと考えておりましたが、すみません、思慮が足りなかった。LGBTQを考慮に入れてませんでした。すると、何通りあるんだ? わからん。こういう時数学できるといいなーと思います。式を作って計算してすぐチーンと答えを出せるとかっこいい。(チーンというのは電子レンジの音ではなくて、昔のレジスターのおもちゃの音でお願いします。)  理数系の能力があったら、物語もまた違う見え方してくるのでしょうか? 理系の方、love triangleのパターン数計算してわかった方、ご一報ください。

読んでいる本に自分の現実生活の感情が影響を受けてしまう。だから、あまり悲しすぎる話とか読まないようにしてるのですが、今回も実生活のあらゆる瞬間に登場人物の感情が湧いてきて、「なんとかならんもんか…??」とふと思ったりしました。世の中には「ホラーが好き」とか「いやミスが好き」とか言う人が結構いますが、皆さん物語に引き起こされた感情をどのように消化しているのでしょう。

特に後半読むのがつらくて、先を読みたいんだけど読みたくないという状況に陥り、「この話読むの辛いわ〜。」と呟いてみたところ、家族から見事スルーされる。仕方がないのでジョージェット・ヘイヤーの短編集を取り出してきて、この本とヘイヤーの短編とを交互に読み、ようやく読了した次第です。ハッピーな小説でも混ぜんとやっとられん。お薬が苦いので甘いゼリーに混ぜて食べる、みたいな。お薬飲めたよ!って感じです。薬は治療のために飲むのでしょうが、悲しい本はなんのために読むのかな…。感情を揺さぶられるため?誰か違う人になるため?確かに読んだ後鬱々と色んなことを考えはする。自分だったらどうするかと考えてみる。

でも、しばらく悲しい話は読めそうにありません。楽しくてハッピーな小説読もう。ココアでも飲むかな。