
*与えよ、さらば与えられん*
表紙には葛飾北斎の波。

2022出版。
この本は何度もAmazonのおすすめに出てきたし、人気がある本だということは知っていた。でも、図書館の棚の一番下の段で見つけて、クラウチングスタイルで、表紙を開くまではどんな話かということも知らなかった。
そこから、一気に物語の世界に引き込まれて、借りてきて読んだ。
かなり、面白かった!
日本語訳もある。タイトルは「トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー」…100%そのままなんだけど。
でも、どうしてこの本にこのタイトルがつけられたかわかる場面を読んだ時が、私個人としては、この本の中で最も心揺さぶられる瞬間だったので、納得のタイトルではある。
セイディとサムという二人のX世代の男女の物語。時代は1980年代から2000年代にかけて。この2人が子供の頃出会って、一緒にビデオゲームをして仲良くなって、大学生になって、今度は一緒にゲームを作る。そのゲームが世界的人気となり、ふたりは仕事のパートナーとなる。
この主人公達が、意気投合したり喧嘩したり誤解しあったり冷戦状態になったり仲直りしたりするんだけど。
一方から見ると「ひどい!」って思えることも、もうひとりの立場から見るとそれなりの理由があったりする。
それで、私の心はサムになったりセイディになったりと忙しかった…。
ある意味、サクセスストーリー的要素もある。でも、それだけじゃなくて、愛とは?人間関係とは?仕事とは?ゲームとは?…主人公やその周りの人々の性格や生活を通して、いろいろと考えさせられる。
特に前半読んでいて思ったのは、人間関係ってギブ・アンド・テイク、時にはギブ・ギブ・ギブ、または人によってはテイク・テイク・テイクだったりもするかもしれぬが、ギブとテイクの連続だなということだ。
そのバランスが壊れた時、または、そのバランスを考え始めたら、関係は壊れ始めるのかもしれない。
相手が本当に好きだったら、人は「今日もギブだった。」とか「毎日ギブばっかり!」とか考えないんじゃない?
わからんけど。
あの絵本を思い出す。
英語のタイトルは「The Giving Tree」っていうらしい。
とか言って、探したら家にあった。

そもそも、人に何かをあげたり、してあげたりすることはその行為自体にも喜びはある。そういう行為って、相手に心の欠片を配ってるみたいな感じだな、と思う。でも、不思議なことに、ハートの欠片をあげることによって、ハートは減らない。むしろ膨らんで大きくなるのだ。
人に何かしてあげる時は、見返りを求めず、大きく膨らむハートのことを考えたい。
自己満足かもしれないけど、その方が楽しい。
あげることが迷惑になる場合もあるから気をつけないといけないな。
いろいろ考えると難しい。
さて、本の話に戻る。
「スーパーマリオ」とか、実在架空のゲームが沢山登場するので、ゲーム好きの方はより楽しめるのではと思う。
私は一切ゲームしないんだけど、十分楽しめた。
サムは韓国系アメリカ人だし、重要な登場人物には日本人の父親を持つ日本育ちのイケメンもいる。日本語の単語も出てくるし、日本に旅行したりする場面もあるので、そういう面も日本人には刺さるかな。
The Nezu Shrine has a tunnel of red torii gates for visitors to pass through. (…) Sadie walked under the gates, one by one by one. At first, she felt nothing, but as she kept moving ahead, she began to feel an opening and a new spaciousness in her chest. She realized what a gate was: it was an indication that you had left one space and entering another.
She walked through another gate.
根津神社には、参拝者が通り抜けられる赤い鳥居のトンネルがある。…(中略)…セイディは鳥居の下を、一つ、また一つと歩いていった。最初は何も感じなかったが、先へ進むにつれて、胸のあたりに何かが開け放たれるような、新しい広がりを感じ始めた。彼女は「鳥居」とは何であるかに気づいた。それは、ある空間を後にして、別の空間へと足を踏み入れることを示すものだったのだ。
彼女は、もうひとつ、鳥居をくぐり抜けた。
この本読んだ人は根津神社に行きたくなる可能性あり。
面白いから482ページ無理なく読める。
登場人物達が高学歴なため、たまに難し単語が出てくるが、それも調べなくても推測できる範囲。
エミリー・ディキンソンやシェイクスピアの引用もあり、知的になった気分も味わえる。
エンタメなのか文学なのか。
一体その分け目はどこにあるのか?
読み終わったら、数人分の人生を生きた感じで疲労困憊した。でも、よい終わり方だったよ。
次は、心を揺さぶられ過ぎない軽い本読みたいなとは思う。
2026年8月現在、映画が撮影中で2027年11月公開予定とのことです。
最後に作者から一言。
読んだ本の中から世代別に一冊ずつえらんでみた。
ロストジェネレーション世代(1900年生)
GI世代(1901-1927年生)
沈黙の世代(1925-1945年生)
ベビーブーマー世代(1945-1965年生)
ジェネレーションX世代(1965-1980年生)
ミレニアム世代(1980-2005年生)










