Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"The Weekend" Peter Cameron

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*「推し」っていうのかな?*

ピーター・キャメロンという人は私の好きなアメリカの作家です。

好きな作家がいるって言えるのはうれしい。

正直、アメリカの小説を読んでもいまいち好きになれないことが多い。湿度が低い、ドライな感じが合わない。冗談も笑えないことが多いのだった。

自虐ネタを限りなく愛しているので、イギリスの小説の方が居心地がいいというのもある。

でも、この人の小説は優しくてほんと読んでて心地よいのだ。

一人のニューヨークに住む男が友人夫婦の田舎の家で過ごすある夏の週末。妻は男の古くからの友人で、夫は男の元恋人の異父兄弟で、その家は男の元恋人が亡くなった家でもある。そこに男は新しい恋人を連れて行く。

何も起こらない。起こるといえばいろいろ起こるけど、普通の事しか起こらない。殺人事件とかアドベンチャーとかパラレルワールドとか一切ない。ただ、人が人と出会い、別れ、会話し、寝て、食事する。人間のちょっとした仕草や言葉が、一滴の水をコップの水に落とした時のように他人の心にさざなみを立てる。そういう事が、繊細に丁寧に描かれているような気がする。

でも、遠くに置いた定点カメラで全ての出来事を眺めているかのように物語が語られる。誰も悪くない、世の中そういうものなんだよーという優しく見守る視点。

そういう風にで、あくまで控えめで、グイグイ押してくる感じじゃないから、退屈して進まないんじゃない?と思うかもしれないが、ところがどっこいそうではない。はっと気づいたら何十ページも読んでる。

おいしい紅茶のようで、喉をするすると通り、ずっと飲んでいられるのだ。不思議だ。

素晴らしい小説だから、地味ながら映画化されていた。でも、残念ながら地味すぎて、いろいろ調べたけど予告編しか見ることができない。ブルック・シールズとか出演してるらしい。

邦訳もある。「ウィークエンド」というタイトルで山際淳司訳。そもそも、ピーター・キャメロンを日本に紹介したのは山際淳司さんで、他の2作を翻訳しているが、この本を訳したあと亡くなられた。故にこの後のピーター・キャメロンの本は日本語に翻訳されていない。ただ、「最終目的地」という小説は映画化されたので、翻訳もされている。

と、書いた後で「Someday This Pain Will  be Useful to You」という作品も映画化されていることが判明。

ちょっと、3作も映画化されている小説家にしては地味すぎないか?そこがいいんだけど。

きっとアメリカにはファンがたくさんいるはず。もしかしたら、日本にも?私も好きです、という方、ぜひご一報ください。

時々、クスリと笑える。「たぶん、笑わそうとしてるんだよね?」と思う。

こんな感じです。

近所に住むイタリア人の母親Lauraのところに娘Ninaが愛人を連れてきて一緒に過ごす場面から。プールサイドでバーベキューの準備中。

Nina lit a match and held it to the newspaper she had bedded beneath the charcoal. She stepped back and watched it burn. He stood panting and dripping on the flagstones. His bathing suit was slicked tight to his skin, and articulating his penis. He noticed them looking at it and tugged at the material.

 

ニーナはマッチに火をつけ、炭の下に敷いた新聞紙にそれを近づけた。一歩下がって、燃えるのを見守った。彼は息を切らし、石畳の上に水を滴らせながら立っていた。水着は彼の肌にぴったりと密着し、ペニスを際立たせていた。二人がそれを見ていることに気づき、彼は水着を引っ張った。

 

 

これって、笑うところじゃない?

私は笑ったけど、笑うべきだったかわからない。

Wikipediaによると、この作家は少年時代をイギリスで過ごしたらしい…だからアメリカっぽくないのかな?

でも、小説の舞台はいつもニューヨークだよ。

そういうわけで、これからもピーター・キャメロンの本を読んでいきたいです。読んだらまた報告します。

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