Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"A Christmas Memory" Truman Capote

f:id:Bookeater:20221218111723j:image

マトリョーシカる*

この本は自分へのクリスマスプレゼントとして買いました。12月になるとこんな季節的な本が読みたくなります。クリスチャンじゃないから、クリスマスを祝う資格はないってわかってるけど、抗えない。クリスマスってほんと可愛くて美しくて素敵なお祭りです。もし、キリスト教を信仰しなければクリスマスを祝ってはいけないという法律ができたら、かなりの人がクリスチャンになっても構わないと思ってしまうのではないでしょうか…。フランシスコ·ザビエルに教えてあげたい知恵袋!?です。

トルーマン・カポーティの子供の頃の思い出を美しくセンチメンタルに描いたもので、この本とてもよかったです。翻訳もあります。

家庭の事情で親戚の家に預けられて暮らしている主人公の親友はいとこ(中年女性)と1匹の犬で、毎年冬のある朝、「フルーツケーキのお天気だわ」といういとこの声を合図にクリスマスの準備が始まります。材料を買い出しに行って31個のフルーツケーキを作り、クリスマスツリーを切り出して手作りのオーナメントを飾りつける…否応なくクリスマスを待ち受ける気分が盛り上がります。

カポーティっていうとどうしても「ティファニーで朝食を」のそれも映画のイメージ。オードリー・ヘップバーンはかわいいけどどうしても声と話し方が苦手で…。小説も日本語で読んだけど正直あの頃の私にはわからなかったし。それから、「冷血」というタイトルを見ただけで怖気付いてしまう小説もある。でも、今回この本を読んでみて、すみません。私が間違ってました。食わず嫌いは良くない。カポーティの本たくさん読んでみたくなりました。私的ブームの予感。調べたら村上春樹カポーティ好きみたいですね。翻訳してます。

この本のもうひとついい所は装丁がかわいいっていうところです。ハードカバーなんだけど新書くらいの大きさで、表紙がクリスマスっぽい。もし読まなくても、お店のディスプレイとか、インテリアとして使えると思う。お値段も手頃だし。

というわけで、部屋に飾ってみました。隣に並ぶ先日一目惚れして買ったクリスマスツリーのマトリョーシカより安い。おまけに読める!一石二鳥のおすすめ商品です。

マトリョーシカの中にサンタクロース、サンタクロースの中に雪だるまが入っています。ときどき開けて取り出して並べてまたしまう。うれしいなー、楽しいなー。にこにこ。

マトリョーシカと読書の共通点は生産性がないってところです。(異論はもちろんあるでしょうが…。)

役に立たないものが切り捨てられる今日このごろですが、一件無意味に見えることにどんどん取り組んで行きたい。空を流れる雲やありの行列を観察したり、白い息を吐きながらむやみに散歩したりしたいなーと思います。

これ、来年の抱負にしよう。

みなさま良いお年をお迎えください。