Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"Sex and the City" Candace Bushnell

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*バック トゥ ザ…*

…時空を、超えたね…。

はるばるやって来ました。1915年のプリンスエドワード島から1994年のニューヨークへ。

ドラマ「セックスとニューヨーク」の原作なのですが、ドラマとはほとんど別物と考えていいのではないかと思います。ドラマ見てないので、断言はできませんが。

この本は「ニューヨーク・オブザーバー」という新聞のコラムを一冊にまとめたものだそうです。だから、どちらかと言うと知的でバカっぽくない読み物。チックリットでもない(残念)。「ニューヨーク恋愛事情」っていう感じかな。さばっとした語り口です。著者も前書きで「センチメンタルを排除した」みたいなことを言っています。

当時のニューヨークの風俗を学ぶにはいい資料だと思います。スラングもいっぱいです。woomanizer とかrain check とか。Can I take a rain check?って言ってみたいなー。不思議なのは単語帳の単語は全然覚えられなくてガラスに水性ペンで書いてるみたいに脳の上を滑っていく感じなのに、こういう言葉はすいすい覚えられるってこと。吸収力バツグンの紙おむつみたいです。

素晴らしく簡潔な文章もあります。例えば第21章冒頭の文章「In the past few weeks,several seemingly unrelated yet similar incidents occurred.」とか。天才か!?って思った。

でも、登場するキャラクターたち(実在するモデルがいるのだろうか…)があまりにも即物的で金銭と容貌の美しさに囚われすぎてて、読んでて心が荒みます…。

第15章では、全てを兼ね備えたプリンストン大学卒業生の男達が過去に出会った「容姿以外は素敵なのに綺麗じゃないから惹かれてるのを認めたくなくて酷い扱いをして捨ててしまった女の子」について語り合う(!)のですが、寝る前に読んでしまった為、朝起きてもなお腸煮えくり返っていた私です…。ジミー・ペンドルトンの後輩なのに。許せん!このような両極端な事例を目の当たりにし、私はプリンストン大学にどのような評価を下したらよいのでしょうか?あまりにも事例が少ないので調べてみました。スコット・フィッツジェラルドジョン・F・ケネディ、ミッシェル・オバマブルック・シールズ…ますます混迷を極める。

やはり、私にはニューヨークは無理だった。ふるさとへ帰ります。1世紀前のプリンスエドワード島へ…。???

頭のてっぺんからつま先までエルメスで決めるより、緑のドレスを着て髪にスターフラワーを飾った方がずっといいよ!あくまでイメージ。

実に、本とは、私たちを過去や未来やあらゆる場所へ連れて行ってくれるかくも素晴らしき乗り物なのでありました。合掌。