Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"Kate and Leopold" James mangold, Steven Rogers

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*正しいサンドイッチの具を選ぶ*

この本は小説ではなくて映画の脚本です。その名も「映画で学び、英語をまなぶ!DHC完全字幕シリーズ」。見開きの左ページに英語と語彙などの説明、右ページに日本語訳と字幕文が書いてあって、辞書を引かずとも読めます。写真も沢山あって楽しい。この映画の邦題は「ニューヨークの恋人」っていうんだけど、何とかならんかなと思う、ほんと。

図書館の本棚にこの本を見つけて読みたいと思っていたところ、NHKで映画が放送される…即録画する。これって天啓か!?という感じです。

こういうことって起こります。全宇宙が呼応し…って言ったら大袈裟だけど、メッセージを送ってくる。私の場合主に書物に関して頻発する現象ですが、人間にもアンテナってあるのかもしれません。それで、無料で(!)脚本と映画を学習(?)することができました。

最初に映画を1回見て、本を読んで、もう1回映画を見てみた。しかし、依然として聞き取れない台詞は存在していた。映画やドラマのセリフを完全に聴き取れるようになるまで見る…そんな学習法が成功体験としてよく紹介されてるけど、飽きっぽい私には向かないとわかる。2回で飽きる。また忘れた頃見てみたいと思います…。

前回紹介した「Rilla of Ingleside」という小説が辛すぎて連続的に読むことができず、のっけからこの本を手に取りサンドイッチメソッドにて読み進めるという暴挙に出たのでした。

世間の人がこういうことをやっているのかわからない。もしかしたら私独自のものなのか。商法登録かなんかしとくべきか悩む。しかし、世界にこのメソッドを浸透、普及させたいのでケチ臭いことは言わないことにします。

ふたつのストーリーや登場人物で頭が混乱しないのかって思うかもしれないけど、全然大丈夫です。だってドラマの好きな人は週に2つのドラマをフォローしたり普通にするじゃないですか。皆さんもサンドイッチやトリプルサンドやいろいろ試してみてください。どちらがパンでどちらが具なのかそれが問題ですが、読む割合が多い方がパンなのだろうな。

何の話をしてるかわからなくなってきましたが、基本この本はタイムトラベルラブコメって言葉で全て説明できるような単純なストーリーです。まぁそれでいいんです。だって安心だから。約束された幸福。そうじゃなきゃサンドにならん。

NYのキャリアウーマン(死語なのか?)が19世紀からタイムスリップしてきた英国貴族と恋に落ちる。

ヒストリカルロマンスを読み倒してきた読者としては納得いかない細かい点はある。公爵、現代社会に順応するの速すぎないか?とか、本当にこのエンディングを手放しで喜んでいいものか…とか。でも、メグ・ライアンはキュートだし、ヒュー・ジャックマンはかっこいいし、いいんだよこれで。

どうして俳優って表情だけで感情を表現することができるんでしょうか。すごい。逆に自分は悲しい時は悲しい顔を、嬉しい時は嬉しい顔をちゃんとできてるのか少し不安になる。他人に違う信号を送っていたらどうしようと思う。

この本のもうひとつの魅力としては、時代や文化によって違う英語を楽しめるってことでしょうか。レオポルドっていう19世紀イギリス貴族の英語と、ケイトの弟チャーリーの現代(2000年代)若者風チャラい英語、それからスチュアートっていうケイトの元彼の学者的英語…とバラエティに富んでいる。みんな違ってみんないい。

この映画は2000年の春、つまりアメリカ同時多発テロ事件前に撮影されたらしい。ニューヨークの風景も楽しめます。旅行気分で。それにしてもあれから20年も経ったとは信じ難い。