Bookeater's Journal

洋書の読書感想文

"The Secret Diary of Adrian Mole, aged 13 3/4" Sue Townsend

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*50回です!!*

いつも読んでくださっている皆さん、そして初めて読んでくださっている方々、今回この読書感想文ブログはめでたく50回目を迎えることが出来ました。

ありがとうございます。

ウキーっということで、これからも地道にがんばります。

現在何か記念になることをしたいと思って考え中なので、気長にお待ちいただければうれしいです。では、いつものように感想文始めます!

 

*歌いつつ読む*

50回と言うことで(くどい?)、自分が最も好きな感じの本が読みたいと思った。

となるとやっぱりイギリスの、笑える本!かな。

どういう訳かそうなる。人間の好みに説明はないのだ。

この本はネット上で読んだ誰かのブログがきっかけでずっと気になっていた。

もう結構長く生きているので、読まなくても自分の好きそうな本はわかるし、着なくても似合いそうな服はわかる。そのような予想が裏切られることも、よくも悪くもままあるので、あまり頼り過ぎない方がいいのかもしれないけど。

それで、Amazonで購入し、台風でなかなか届かなかったりしたので、やっと手にした時はうれしかった。にんまり。

結論から言うと、予想通り、いや、予想以上に面白かったです。

タイトルそのままに、この本は13と3/4才の少年の日記という形で書かれている。

最初のページは1月1日、今年の抱負から始まる。これって…「ブリジット・ジョーンズの日記」と一緒だな。「ブリジット…」の方がずっと後に書かれてるから、影響を受けたのかもと思った。

初日から、エイドリアン(主人公)のお父さんとお母さんは二日酔い。大晦日のパーティで飲みすぎて、酔っ払ったお父さんは犬にお酒をのませて、犬が家の中で大暴れしてしまい、怒ったお父さんは大声で悪態をつきながら犬を庭に放り出す。そして、少年は父親が警察に捕まるのではないかと不安になる….。

こんな感じで、日記を書いている本人は至って真剣に悩み考えて書いてるのだが、それが傍から見るとバカバカしくて滑稽で時に悲しい。それが思春期っぽい。そしてこんな複雑な二重構造のお話を書ける作者の才能というか技術がすごいなと思った。

とにかく大人がみんな無責任で笑える。

学校の遠足で大英博物館に行く場面がある。子供達がバスの中で「Ten Green Bottles Hanging on a Wall」という歌を繰り返し歌う。

どういう歌かYouTubeで聴いてみた。

数がどんどん減っていく数え歌なのだが、このメロディ「Ten Fat Sausages Sizzling in a Pan」という歌詞でも歌われている曲だ。

たぶんアメリカ版がソーセージなんじゃないかと思う。

なぜなら、グリーンボトルの歌は文法的にかなり複雑だからだ。

Ten green bottles hanging on the wall,
Ten green bottles hanging on the wall,
And if one green bottle should accidentally fall,
There'll be nine green bottles hanging on the wall.

if節の中にshould が入っている。これは、「万一~ならば」という意味で、そういうことが起こるか起きないかはわからないが、話し手は可能性が少ないと思っている場合に用いられるそうです(「表現のための実践ロイヤル英文法」より)。

勉強になる。子供の歌ですら回りくどい。ここにイギリス英語の真髄を見た。

などとオンライン英会話でイギリス人の若い先生に話したところ、「ネイティブだからわからない。shouldがあってもなくても全く同じ意味だよ。」と言われる。そうっすね。細かいこと気にすることないっすね。わは。

ネイティブに文法の質問しないって決意してたの忘れてた。

それはともかく、歌うと単純に楽しい。クセになる。特に「accidentally」ってところが、ちょっと難しワードで、よい。

ひとりで繰り返し歌っていると、客観的にはかなりイカれた感じに見えるのではないかと思う。家の外では歌わないように気をつけたい。

数字に弱いので、3くらいまでは「次なんだっけ?」と戸惑う。そういう人には脳トレ効果もあるかもしれない。

本の中では、この歌を繰り返し聞かされたバスの運転手が、ストレスの余りパーキングエリアで飲酒をしてしまい、警察に捕まっていた。

ちょっと古い(1982年初版)けど、イギリスのワーキングクラスの雰囲気がわかる、それに最初から最後の最後まで笑える本でした。

続編もあるので、ぜひ読んでみたいです。